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あるとの提言もあった。
設計・仕様の打合せといった前工程を削減するための取り組みとして、作業船の基本的な規格の標準化を提言する声もあった。これは、本州造船所の中で豊富な建造実績に基づいて過去の建造船の原図などを打合せ時に持ち出してくるため、話し合いがスムーズに進行することが多い点を引き合いに出しての提言である。
そして、最終的には、どこかの造船所が起重機船を建造し、海洋土木事業者に対して試乗会を行って欲しいとの要望があった。道内造船所の技術能力を直に確かめたいというニーズが根強く存在していることが分かった。
市場動向
・中型クラスの起重機船(100〜150トン吊り級)の需要は今後も恒常的に存在するであろう。
・今後の建造については、更新時期の代替需要が中心となるであろう。作業船市場は今後も存在していくだろう。
市場動向に関しては、消波ブロックの大型化等による起重機船や台船等の作業船の大型化が進展していることが指摘されたが、その動向は中型クラスの起重機船(100〜150トン吊りクラス)の需要が減少することには直結せず、今後とも期待できる水深の浅い漁港等の整備や100トン吊り以下の現有起重機船の代替需要として、今後も中型クラスの起重機船の重要は存在し続けるであろうとの意見が多く聞かれた。すなわち、いきなり大型の作業船新造に取り組むのでは無理が伴うため、これら汎用機種である中型クラスの作業船の道内新造シェアを高めることに、まず優先的に取り組むべきであるとの声である。
今後の建造に関しては、更新時期の代替需要が中心となるとの声が多かった。これは、今後の公共工事の不透明性及び港湾・漁港整備の現時点の進捗度等を勘案し、今後は新規の作業船の新造が活発に生じるというよりも、むしろ現有の作業船の更新時期に多少性能を高めて代替更新させる業者が多くなるであろうという展望を反映したものである。すなわち、今後の作業船市場の展望としては、前掲の中型クラス(100〜150トン吊り級)の起重機船需要と併せ、代替需要を指摘する海洋土木事業者が多く存在した。

 

 

 

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